ウルトラマンシリーズ60周年記念「B-OWNDコラボレーション展」インタビュー ガラスアーティスト・ノグチミエコ(後編)

ARTIST
ウルトラマンシリーズ60周年を記念して、B-OWNDによるスペシャルコラボレーション展が実現しました。本展では、「ポップカルチャー」と「工芸」を融合させ、アーティストたちがウルトラ怪獣の皮膚感や独自の造形美を再解釈し、創り出した作品が誕生しました。 参加した全8名の各アーティストに、ウルトラマンシリーズの「原体験」や制作背景について伺いました。
文章・B-OWND
写真・木村雄司 / 仲信達也

PROFILE

1989年に武蔵野美術大学ガラス研究会にてガラス制作を始め、1991年に武蔵野美術大学短期大学部工芸デザイン陶磁専攻科を卒業。2004年には、神奈川県藤沢市に吹きガラス工房 FUSION FACTORYを設立し、2023年より神奈川県内に新たな工房を構え、「MIEKO NOGUCHI」として活動を展開している。

宇宙の果てを、ガラスに閉じ込める

《頭脳星人の夜 チブル星人グラス》
写真提供:木村雄司

― 依頼が来たとき、率直にどのように感じましたか?また、実際に制作を終えた今、どのような心境の変化がありましたか?

ノグチ ウルトラマンシリーズという素晴らしいテーマでお仕事をいただけて、本当に嬉しかったです。ずっと作ってみたかったモチーフをこうして形にできたという喜びがまず大きくあります。

普段の私の作品は、ガラスの「塊(かたまり)」のなかに世界を表現することが多いのですが、今回はチブル星人をモチーフにしたグラス、つまり日常で実際に「使えるもの」として落とし込みました。シュールでありながらも機能的であるという、そのバランスをどう器として成立させるかは自分自身にとってもすごく新鮮で、大きな勉強になりましたね。

― お酒を注ぐと、さらにチブル星人の表情が引き立ちそうですね。

ノグチ そうなんです。お酒を飲みながら、この特徴的な顔と対話できそうな楽しさがあります(笑)。

一人でお酒を飲むときもチブル星人に悩みを聞いてもらったり、友達とのパーティーでも「チブル星人飲み」なんて言って盛り上がってもらえたら面白いなと思っています(笑)。

「未知の素材」を掛け合わせる、今後の展望

《ウルトラセブン 宇宙の果てまで》
写真提供:木村雄司

― チブル星人の次には、すでに新しい「宇宙の果て」のシリーズを構想されているとお聞きしました。

ノグチ はい、私のメイン作品は「ガラスの中の風景、そしてその中にある宇宙」です。

宇宙の果てから地球にいたるまで、まだ誰も知らないような宇宙の外側をイメージした作品にもチャレンジしています。

チブル星人の制作で「宇宙とウルトラマンの融合」という手応えを得られたので、次はさらに踏み込んで、「風景とウルトラマンが合体している」ような世界観を作ってみたいと思っています。具体的には、次回の新作として『ウルトラセブン』へのオマージュを試作しています。

新作では、「レゴリス・シミュラント」という、月の堆積物を模したシミュレーションの土をガラスのなかに封じ込めるという、これまでにない全く新しい試みに挑戦しました。これは宇宙の研究者の方々とのコラボレーションから生まれたプロジェクトなのですが、私にとっても非常に刺激的です。

ウルトラマンの色やあの独特な質感を出すために、今回はじめて金属板を使っているのですが、その発色がとにかく難しい。けれど、その難しさを超えた先にある色が、最高にウルトラマンらしい輝きを放ってくれると信じて、新しい技法と格闘しています。

《月の気配》
写真提供:木村雄司

― 最後に、これから作品を観る方々へ向けてメッセージをお願いします。

ノグチ 今までの私の表現の軸は「ガラスの中に広がる宇宙」でしたが、今回のウルトラマンシリーズとの取り組み、そして次の「宇宙の果て」の作品では、自分がこれまでやったことのない未知の領域に、一種の予測のなかで全力でチャレンジしています。

チブル星人の持つどこかコミカルで強烈な「顔の再現度」はもちろん、ガラスの中に潜む虹色の煌めきなど、ガラスとウルトラマンシリーズの世界が融合した不思議さを、ぜひ細部まで楽しんで見つけていただきたいです。

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ウルトラマンシリーズ60周年記念「B-OWNDコラボレーション展」

会  期:2026年10月2日(金)~13日(火)
会  場:B-OWND Gallery
〒103-0028 東京都中央区八重洲1-6-1 TOFROM YAESU TOWER 1階
営業時間: 11時~20時

定休日:月曜日

月曜日が祝日の場合は営業し、翌平日に振替休業いたします