企業におけるNFTの活用方法とは? |  アートで実現するホテルの新しい収益づくりについて解説!

BUSINESS
2022年2月、株式会社オータパブリケイションズと株式会社丹青社の共同ウェビナーが開催されました。
テーマは「いま話題のNFT・アートで実現するホテルの新しい収益づくり」。
この企画では、いま世界が注目する「NFT」について、ホテルにおけるあらたな収益づくりや、
OTAに依存しない新規顧客獲得に繋がるヒントとそのテクニックなどについて解説されました。
今回の記事では、この内容を一部抜粋してご紹介します。
編集:B-OWND

はじめに

2019年にローンチしたB-OWNDは、ブロックチェーンの技術に注目し、これまでデジタル証明書にその技術を用いることで、作品の付加価値を高める試みなどを行ってきました。また2021年より、アーティストとコラボレーションしたNFT作品を配布・販売しています。

このB-OWND Magazineにおいても、たびたびNFTに関する話題を取り上げ、ご紹介してきました。

またまだ一般的ではないとされるNFTですが、すでにたくさんの活用例があるのも事実です。今回の記事では、各企業がいまNFTをどう活用しているのか、どんな可能性に注目されているのかなどについて話されたウェビナーの内容を一部抜粋するかたちでご紹介します。

なおこのウェビナーは、2022年2月に 「いま話題のNFT・アートで実現するホテルの新しい収益づくり」 をテーマ に株式会社オータパブリケイションズと、B-OWNDを運営する株式会社丹青社が共同で開催したものです。

そもそもNFTとは何か?については、こちらの記事もぜひご参照下さい。

スタートバーン太田圭亮氏に聞く「NFTの現在と未来」

登壇者について

左  「株式会社HARTi」の代表取締役社長CEO 吉田勇也氏
右  株式会社丹青社 企画開発センター 事業開発統括部長 兼B-OWND事業責任者 吉田清一郎

発表者は2名です。

まず、ゲストとして、現代アーティストのプロダクション事業を展開、NFTの活用によるアート作品への展開を推進する「株式会社HARTi」の代表取締役社長CEO 吉田勇也氏をお招きしました。HARTiは、NFT業界においてのオークションやリアル空間での実証実験なども行い、NFTに関するさまざまな実績を積んでいます。

ウェビナーの前半では、吉田勇也氏より、企業におけるNFTを使ったマーケティングの成功事例や具体的な活用方法についてお話しいただきます。

そして後半では、株式会社丹青社 企画開発センター 事業開発統括部長 兼B-OWND事業責任者 吉田清一郎より、2018年より丹青社が取り組んでいるブロックチェーンやNFTを使った事業について紹介します。

なお丹青社は、2021年6月よりHARTiと資本業務提携を開始し、リアル空間とNFTを連動させた新たな価値創出を目指すアートプロジェクトの共同企画を推進しています。また、B-OWNDにおいても、HARTiの現代アーティストプロダクション機能と連携することで、アート分野において新たなインフラの構築を目指しています。

企業のマーケティングの成功事例

まず、HARTiの吉田勇也氏は、すでに成功した企業のマーケティング事例が複数あるとして、以下の事例を紹介しました。

1、McDonald’s

アメリカのMcDonald’sでは、TwitterのキャンペーンにNFTを利用。リツイートをした人の中から、抽選でNFTが当たるというデジタルマーケティングの一環としてNFT配布のキャンペーンを行った。

企画趣旨:マックリブ40周年を記念した「マックリブNFT」の抽選配布。

獲得方法:マックリブNFTの配布キャンペーンはTwitter上で実施された。McDonald’sの公式アカウントをフォローしたうえで、キャンペーンツイートを2021年11月1日~2021年11月7日の間にリツイートする。その後、2021年11月12日までに、10人の当選者を選出した。

2、LUSH

LUSHでは、リアルの商品を購入をした人に、NFTをギフトボックス的な形で差し込んでプレゼントした。

企画趣旨:LUSH公式アプリ「LUSH Labs App」の販促の一環として原宿のPOPUPスペースでボックス購入者にNFTを同封。

獲得方法:「LUSH Labs App」からユニコーンボックス(アプリ購入限定商品)を購入。

ボックス内に同封されたカードに記載のQRコードを読み取ると、NFTアートの引き換えページへ遷移。ユニコーンボックスの価格は5,000円(税抜)

3、アディダス(adidas)

NFTはファッションの領域でも流行しており、adidasのレーベルの1つ「adidas Originals」では、1日で20億円を超えるNFTの商品が完売した。

企画趣旨:adidasが初の公式NFTを「OpenSea」で29,620個販売(完売)。購入者はメタバースへのアクセス権をゲット。

獲得方法:「OpenSea」(NFTプラットフォーム)より、直接購入。購入専用サイトも用意されており、上位顧客から順次購入権を与えられていた。1つあたりの価格は、0.2ETH(約87,000円)で、NFTベストセラーのBAYCコラボや、クリプト文脈を取り込み、約26億円の売上を瞬時に叩き出した。

4、ホテル業界の「Marriott International」

Marriottでは、会員向けのキャンペーンとして、NFTをデジタルアーティストとのコラボレーションによって制作し、実際のキャンペーンの一環としてNFTを活用した。

企画趣旨:Marriott Bonvoy会員向けキャンペーンでNFTプレゼント。デジタルアーティストTXREX、JVY、Erick Nicolayと協力。

獲得方法:Art Basel Miamiにてイベントを実施、NFTを発表。イベントの参加者のなかから、抽選で3名にNFTが配布される。当選者にはNFTと、200,000ボンボイポイントがユーザーへプレゼントされる。マリオットの「Power of Travel」というマーケティングキャンペーンの一環。

NFTの現在の市場規模と特徴を見据えた将来性

次に吉田勇也氏は、NFTの市場規模が急速に拡大している現状について、2020年まではグローバルでも約350億円くらいの市場であったものが、2021年には「OpenSea」やNFTの流行に伴って、約2.5兆円と、70倍以上に市場が拡大していること、そしてまた、アート市場においても既に3分の1程度の市場規模となっている現状を述べました。

そのうえで、NFTの特徴を見据えた将来性について、次のように指摘しています。

吉田(勇)「NFTは、ブロックチェーンという技術を使っているため、二次流通以降のロイヤリティの還元ができるという利点があります。つまり、売って終わり配って終わりではなく、その後の二次流通から収益を得ていく方法も考えられるということです。これは、ブロックチェーンならではの優位性だと考えています。」

また、現在の仮想通貨のウォレットの代表格である「MetaMask」のユーザー数が約2000万人であり、「まだまだアーリーアダプター向けと思われがちではあるが」と前置きしたうえで、このユーザー数は1996年ころのインターネットの利用者数とほぼ一致していることを指摘しました。そして、この1996年当時は、Amazonや楽天といったネット系のベンチャー企業が立ちあがった時期にあたるため、今こそ、20年30年先を見越して、NFTに取り組むことに価値があると述べました。

マーケティングの現在とこれから

では、実際に今後、どのような活用が考えられるのでしょうか。

吉田勇也氏は、まずインターネットマーケティングの世界における変化について、FacebookやGoogleを活用した広告による成果が出にくくなっている現状を指摘しました。そのうえで、現在ではWeb3.0という新しいマーケティングのスタイルが提唱されているとして、次のように語りました。

吉田(勇) 「Web3.0で提唱されている”トークングラフ”は、今までのように個人情報を相手に提供し、そのサイトにログインして、サービスを利用するっていう流れとは異なるものです。

今後は、ありとあらゆるサービスに仮想通貨のウォレットを接続するだけで、名前も一切公開せず、あくまでも匿名の状態でさまざまなサービスを使えるようになるとして注目されています。Web3.0では、例えばどんなNFTを持ってるかに応じて、お客さまの趣味嗜好を図っていこうとするものです。

現在であれば、Instagram上で誰が誰をフォローしているか、誰からフォローされてるかなどのコミュニティよって、その人の好き嫌いが予測しているものが、今後5年10年後には、仮想通貨のウォレットの中身にどんなNFTをその人が持ってるかというところから、個人の趣味嗜好を図っていく流れが生まれてくるのではないかということが、グローバルに言われています。」

ポテンシャルの高いNFTを実際にどう活用していくか | ホテル業界を例に

そこで吉田勇也氏は、ホテル業界でのNFT活用について、「今だから期待できる3つの価値」を次のように提案しました。

1、「メタバーズ進出」という話題性によるメディア価値

究極のリアル・体験を届けていく施設であるホテルにおいて、あえてデジタル空間で完結するメタバースに進出することで、メディアから注目を浴びるなど、話題性を作ることができるという価値があると考えられる。

2、NFT保有者がクチコミで知人・友人を連れてくる

NFTを販売、もしくは来館者に配布することによって、「ここのホテルのNFTもらった」という話を、InstagramやTwitter、TikTokなどでの拡散を狙い、ソーシャルマーケティングの1つのきっかけとすること。バイラルマーケティングの一環としてNFTを捉えていくという考え方ができる。

3、NFT保有者へ定期的にクーポン等を配布できる

NFTは配って終わりではなく、ブロックチェーンで結ばれていることを活用し、所有者にさらに働きかけることが可能。何度もホテルを訪れてくれる上顧客には、その人のウォレットが紐づけられたアカウントに特別なクーポンなどを別途配信をすることが可能。

では、具体的にはなにから始めればいい?

では、これらのアイディアを踏まえつつも、具体的にはなにから始めればいいのでしょうか?これに対して、吉田勇也氏は、次の2つを提案をしています。

1、新規顧客の獲得を目的として、NFTを配布、SNSで拡散する

ホテルの公式のSNSのアカウントを使うなどして抽選のキャンペーンを行ない、当選者にホテル限定のNFTを配布する。リツイートなどによって、ホテルの名前も全国区に拡散されていくことが期待される。現在では、NFTをゲットしたいという人はかなり多いため、そういった新規の客層の獲得を狙ったマーケティングを打つことがねらい目。

また、顧客がNFTに触れ、慣れが出てきた段階で、そのホテルの複数のNFTを所有している顧客向けの宿泊イベント、クーポンなどを提供することを考えていく。OTAからも徐々に脱却をして、D to C的に顧客を獲得していく流れをNFTを基軸に作っていくことが可能。

2、価値あるNFTを流通させ、二次流通以降の印税の獲得を狙う

たとえば企業が、NFTアートなどの価値のあるNFTを制作し、無料で配布する。そのNFTが「OpenSea」などで転売されるなど、流通が生まれれば、印税を得る仕組みを作ることができる。

吉田(勇) 「実際には、NFTは、まだまだわからないところが多いと思いますが、まずはこのタイミングで実証実験をやるということが重要になってきてます。

株式会社HARTiでは、NFTに関するさまざまなお手伝いできますので、ぜひご相談ください。」

NFTを新規事業として取り入れた企業の実例|空間づくりを手掛けるの丹青社の場合

このように、企業においてもさまざまな可能性が期待されるNFTですが、マーケティング以外では、どのように利用されているのでしょうか。これについては、株式会社丹青社の吉田清一郎より、空間づくりを専門とする業種の丹青社において、実際にどのようにNFTを使った事業を展開しているのか、これまでの実績を紹介しました。

丹青社は、2018年よりブロックチェーンの技術に注目した事業をスタート

丹青社において、もっとも早くブロックチェーンの技術を取り入れたプロジェクトに、アートとしての工芸を取り扱う「B-OWND」があります。 「B-OWND」 は、2018年より構想をはじめ、2019年にサービスを開始したプロジェクトで、作品証明書にブロックチェーン・NFTを活用することで、作品の価値向上を目指しています。

また丹青社では、2021年のNFTの急速な認知向上をビジネスチャンスと捉えて、HARTiとの資本業務提携の締結、空間でのクライアントの協業提案を進めるなど、NFTプロジェクトを本格的に稼働させています。

提供価値は大きく3つ

NFTにおける現時点の丹青社の提供価値として、次の3つがあります。

1、コンテンツメイクによる付加価値の向上

丹青社のクライアントに対し、アーティストと連携、もしくは丹青社自身がコンテンツを作り出して付加価値向上のためのUIUXのデザインや、リアル空間との連携を実現しようというもの。

2、NFT化/販売計画立案によるスムーズな取引

3年前より、NFTの取り組み実績を持つアドバンテージを活かし、丹青社が適切なブロックチェーンの選定から販売計画の立案、マーケットメイクまでを行っている。

3、マーケティング及びプロジェクトマネジメントによる新たな企画の実現

丹青社がNFTの企画から販売マーケティング、Web制作や運営まで、全体をコーディネートする。

アート、音楽、ファッション、スポーツといったコンテンツを、仮想空間と現実空間の双方に展開し、それを繋いでいくことで持続的にそのコンテンツの価値を高めていくプロジェクトを推進していく。

空間づくりとの連携をいかに図るかがカギ

丹青社の本業である空間づくりとの連携を見据え、今後の展開について次のように語りました。

吉田(清) 「NFTは、スマートフォンの画面でただ見ていても面白みはありませんので、NFTにリアルの体験価値を結びつけることは重要だと考えております。非日常空間のホテルは、リアルな体験価値の最たるものですから、NFT保有者が”あのホテルのあの場所のアートは自分のものだ”と言えるNFT保有者にホテルとの特別な体験を付与することも考えられます。

今までアートは、空間の価値を上げるためにが使われることが多かったと思いますが、今後は、リアル空間がアートやコンテンツの価値を高めていく方向も考えられるはずです。その空間だからこそ、作品の価値が上がったといっていただけるような、そんな空間づくりを目指したいと考えています。」

おわりに

知名度が上がりつつも、まだまだ一般的にその活用が広がっていないNFT。しかしながら、現在においても、市場拡大やマーケティングでの活用が始まっています。各企業における本業との連携など、今後を見据えた動きが注目されています。

B-OWNDのNFTに関する活動については、以下の記事もご参照ください。