アートイベント「アート×茶会の新しい形」を開催しました
アートイベント「HANEDA ART EVENT -アート×茶会の新しい形-」についてご報告します。
写真:石上洋、B-OWND
はじめに
2021年11 月19日(金)~23日(火・祝)、B-OWNDとHARTiは、羽田イノベーションシティ ZONE E 2Fにて、「お茶会」をテーマとしたアートイベントを開催しました。
約450年前、ある大茶会が開催されました。
時の天下人・豊臣秀吉が開催した「北野大茶湯」です。これは、千利休や古田織部など著名な茶人、茶器が一堂に並び、身分に関係なく1,000人を超える人々が参加したとされる画期的な茶会でした。
当時の茶会は現代のサロンの役割を担っていました。日本的美意識の本質を表現するフォーマットとしての「新しさ」を備えていた茶会は、時代を変革してきた者たちを吸引し、交流する場を形成していたのではないでしょうか。
そのような系譜を踏まえ、B-OWNDとHARTiは、現代にふさわしい「新しい形のアート×茶会」のイベントを、先端と文化を発信する羽田イノベーションシティにて開催しました。
イベント名は「HANEDA ART EVENT -アート×茶会の新しい形-」。
アート・工芸作品が、映像、華、テクノロジーなどと相互に混ざり合うことで生まれる斬新な空間によって、日本的美意識や精神性を可視化するというものです。
本イベントでは、作品の展示に加え、実際に茶道家をお招きしてのお茶会やワークショップを開催しました。
この記事では、本イベントの内容についてご報告します。
なお、イベントが開催された経緯などについては、下記の記事をご覧ください。
展示風景紹介
本展に参加したアーティストは以下です。
B-OWNDより、
市川透氏(陶芸)、氏家昂大氏(陶芸)、古賀崇洋氏(陶芸)、酒井智也氏(陶芸)、奈良祐希氏(陶芸)、名倉達了氏(硯)、ノグチミエコ氏(ガラス)、宮下サトシ氏(陶芸)、横山玄太郎氏(陶芸)。
HARTiより、
平 裕之氏(香り)、畑中正人氏(音楽)、前芝良紀氏(華)。
会場は、下記のマップの通り6つの部屋に別れ、①~④・⑥では、それぞれのテーマにそって展示されました。
①宙の間
最初の展示室では、ガラスアーティスト・ ノグチミエコ氏が手掛ける「宇宙」をモチーフにした作品を展示しました。展示室の壁面を覆う映像、そして音楽の作用によって、宇宙と自身が一体化するような感覚を味わえる展示空間です。
②音と光の間
「音と光の間」では、 奈良祐希氏の作品、《Bone Flower》、《ICE WALL LIGHT》を展示しました。今回、初お目見えとなった《ICE WALL LIGHT》は、伝統的な手仕事である陶芸×「音と光」のテクノロジーの融合によって生まれました。内部には照明とスピーカーが組み込まれており、水・森の自然のゆらぎをイメージした光と音が発せられる作品です。
③五大の間
五大とは、「地・水・火・風・空」という5つの要素が宇宙を構成するという、東洋の思想です。この展示室では、五代思想をめぐる3名のアーティスト、陶芸家・ 市川透氏と 氏家昂大氏、硯刻家・ 名倉達了氏の作品を、滝の映像を背景に展示しました。
④へうげの間
「へうげる(ひょうげる)」とは、「ふざける」「おどける」という意味です。武将であり、茶人でもあった古田織部が「へうげもの」と呼ばれたことにちなみ、この展示室では、伝統的な陶芸の手法を用いながらも、現代的でユニークな作品を制作する3名の陶芸家・ 酒井智也氏、 宮下サトシ氏、 横山玄太郎氏の作品を展示しました。
⑤お茶会・ワークショップのスペース
この部屋では、アーティストの茶器を使用したお茶会、そして「個人理念」を言語化することで新たな視点でのアート鑑賞を目的としたワークショップが開催されました。
詳細は、次の項目でお伝えします。
⑥華の間
フラワーアーティスト・前芝良紀氏、香りのアーティスト・平裕之氏、サウンドアーティスト・畑中正人氏による「華の間」。前芝氏は、花や植物にはそのものの生死に関わらず魅力的な表情があるとして、彼が見る植物の一番魅力的な表情を切り取り、落とし込んだ作品を制作しています。
茶会とワークショップの開催
今回は、作品の展示に加え、2つの特別企画を開催しました。ひとつはお茶会、もうひとつは、鑑賞にちなんだワークショップです。
19日(金)、株式会社TeaRoom代表・茶道家の岩本宗涼氏をお招きし、アーティストが手掛けた、個性豊かな茶器を使ったお茶会を開催しました(完全招待制)。岩本氏は、茶を点てながらお客さまをもてなし、1点1点の茶器や会場のしつらえについて説明をされました。
お客さまは、展示室で作品展示を鑑賞し、またそのなかでアーティストとの交流後にお茶会にご参加いただきました。これにより、目の前の茶器をより特別なものとして、そしてより身近に感じていただく機会になったのではないでしょうか。
21日(日)・23日(金・祝)は、株式会社サインコサイン代表の加来幸樹氏によるワークショップを行いました。その内容は、参加者が自らの個人理念を考え、言語化するというものです。これは、各人が個人理念を意識して作品に触れることで、新たなアート鑑賞の機会をつくることを意図した企画です。参加者のみなさまには、約90分のワークショップのなかで、真剣にご自身と向き合っていただく時間となりました。
ワークショップ後には、各人の個人理念にあった作品のご紹介や会場ツアーの開催などを通じて、自身との共通点、相違点などを考えながら、再度作品をご鑑賞いただきました。
以上、2つのイベントを通して、アートをより身近に感じ、楽しんでいただけるような機会をご提案しました。
古賀氏のNFTを限定配布
また会場では、希望者・先着100名様に、古賀崇洋氏の代表シリーズ《頬鎧盃》初のNFT作品【 Samurai Ware Mask – Dragon – at Virtual City 】を配布しました。
CGクリエイターであるYoyoが古賀とコラボレーションし、3DCGによって仮想都市の中に頬鎧盃が宙に浮いた展示を表現した作品です。(※好評をいただき、配布は終了いたしました。)
終わりに
本イベントは、5日間と短い期間ではありましたが、茶会やワークショップの開催など、盛りだくさんの内容となりました。
会場で展示したB-OWND参画アーティストの作品の多くは、期間中よりB-OWNDのECサイトを通じて閲覧・購入が可能でしたが、現在販売中の作品もございます。
ご興味のある方は、ぜひB-OWNDウェブサイトをご覧ください。
この度は、多くのお客様に足を運んでいただき、誠にありがとうございました。