NFTとは?アート分野で話題になっている理由と可能性
一体、どのようなテクノロジーなのでしょうか?
この記事では、NFTの概念とアートの分野で話題になっている理由、
そしてB-OWNDにおける取り組みについてもご紹介します。
NFTとは?
NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーンだからこそ実現できる、複雑な暗号情報を組み込んでトークンを発行する技術のことです。日本語では「代替不可能なトークン」と訳されており、「その人がそのものを所有している」という事実を証明する電子上の記録を作ることができます。
その情報はブロックチェーンを基盤として生成されているため、第三者が改ざんできなくなっています。すなわち、NFTは所有者の権利を唯一無二の価値として表現する技術であると言ってよいでしょう。
また、デジタルという特質を活かして、モノの次元を超えた、時間や空間などの無形な価値に対して所有権を設定したり、物理的にはひとつしか存在しないものであっても「トークン」に置き換えられることで、複数人で所有権を共有することができるなど、その活用の幅は決して「代替不可能性」に留まりません。
なぜ、アート分野で話題になっているのか?
ではなぜ、NFTがアートの分野で注目されるようになったのでしょうか?
ここでは大きく4つの理由にフォーカスして説明していきます。
理由1 NFT作品がオークションで高額落札された
第1に、NFTがアート分野で話題になった背景には、NFTに基づいたデジタルアート作品が、オークションで前代未聞の高額な価格で落札されたことがあります。
例えば、イギリスの老舗オークション・ハウス、クリスティーズでは、デジタルアーティスト・Beeple(Mike Winkelmann)の、NFT作品《Everydays : the first 5000 Days》が、日本円にして約75億円という規格外の値段で取引されました。
NFTが誕生したことでデジタルアートが複製されたとしても、元の作品と複製のものとの区別が可能となり、作品の信頼性を高められるようになりました。その可能性がアート市場で大きな話題になったと考えられます。
理由2 真贋を判定する公証の役割を果たす
第2に、アート作品がNFTとしてデジタル化されることで、その作品の真贋を判定する公証の役割を果たすことが期待されています。
歴史的に言えば、アーティストは作品が自分のものであることを示すために、本体にサインを書き込んだり、紙媒体の証明書を作成したり、工芸では、箱書などもその役割を果たしてきました。
しかし、作品の売買あるいは譲渡が繰り返されていくなかで、紛失や劣化を避けることができず、専門家による分析などを通じて公証が行われています。
もちろん、人による判定も重要な役割を果たしていますが、NFTをはじめとするデジタル化の技術を導入すれば、作品に対する真贋を半永久的に証明し続けることが可能になるでしょう。
その結果、コレクターは安心してアート作品を購入できるので、市場の活発化が期待できます。
理由3 アーティストにロイヤリティを支払う仕組みを形成できる
第3に、NFTの売買で発生する手数料の一部を還元することで、アーティストが収益を継続的に得られる機会を提供できることが挙げられます。
言うまでもなく、アーティストとして生きるうえで大きな課題になるのが生活費の捻出です。実際に、才能のある人たちがこれを理由にアートの道を諦めざるを得ないことも少なくありません。
その険しい道を乗り越えることもまた芸術家の素養として必要なのかもしれませんが、イギリスやイタリアのように、国としてアート活動を保護する仕組みや文化が整っているところもあります。その背景には、アートが社会に開かれていくことで国民の生活を豊かになるといった価値観の浸透があります。
実際に、作品の設置によって、街の景観が良くなったり、それによって観光産業が発展したり、また人々の文化活動が促進されることでコミュニケーションを活発化したりするなどのメリットが期待できるでしょう。
しかし、創作活動には、やはり時間と資金が不可欠です。たとえば、工芸の分野では、ひとつの作品が完成するまでに10年もの歳月がかかることもあります。著名になり、作品が売れていても、必ずしも収入が安定するとは限らないのです。
だからこそ、NFTの取引が発生するたびに一定の割合でロイヤリティを支払う仕組みを構築できれば、今よりもアーティストが経済的に安心して制作に集中する環境を生み出すことができるかもしれません。
理由4 付加価値を自由に設定できる
第4に、NFTは所有権のデジタル化や売買にだけ使われるわけではありません。むしろ、トークンを所有する価値をどのように設定するのか、ここがNFTの醍醐味になると言ってよいでしょう。
例を挙げると、ある作品がNFT化されたとして、トークンの保持数に応じてアーティストとの食事会やオンライン交流会を設定したり、新作を優先的に購入できる権利が得られたりするなど、株主優待権のような仕組みを構築することで付加価値を生み出すことができると考えられます。
それによって、投資を呼び込むだけではなく、購入者と発行者がコミュニケーションを図りながら、NFTを発行した目的に参加することができます。これに関しては、HARTi株式会社の吉田勇也氏のインタビュー記事でも触れているので、興味のある方はご覧ください。
HARTi株式会社と連携して「空間×NFT」の新たな取り組みを開始
この度、丹青社は、現代アーティストのプロダクション事業を展開する株式会社HARTiに出資を行い、NFTを活用して、アート作品のリアル空間への展開を推進する運びとなりました。
これまで丹青社では、大型商業施設、ホテル、ショールーム、そしてオフィスなどにアートを導入することで、豊かな空間づくりを進めてまいりました。また、2019年より開始したアート・工芸のプラットフォーム「B-OWND」では、作品販売時にブロックチェーンを活用したNFTのデジタル証明書を発⾏するなど、アート分野に最新のテクノロジーを導入することを試みています。
こうした流れのなかで、現代アーティストのプロダクション事業を展開し、データ分析とテクノロジーを活用したアーティストのIP(知的財産)の価値最大化と流通体系の構築のノウハウを持つHARTiと連携することで、アート作品に紐づくNFTをリアル空間に展開することが可能になると考えられます。
今後、丹青社は空間づくりのなかでアート作品を導入する際に、作品の所有権をNFTとして販売することで、流通⾦額の⼀部が継続的にアーティストと、空間事業者のロイヤリティになる新しいエコシステムを構築していく予定です。詳細につきましては、下記のプレスリリースをご確認ください。
https://www.tanseisha.co.jp/news/info/2021/post-37922
アート×テクノロジーの可能性
B-OWNDでは、近日中にNFTに関する独自の新しい取り組みを発表する予定です。
今後も「アート×テクノロジー」がもたらす可能性を積極的に取り込みながら、アーティストが抱える課題を解決し、アート市場の活性化に貢献して参ります。
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2021年6月に開催された、陶芸家・古賀崇洋氏の個展にて、展示作品の一部にNFC(Near Field Communication)を搭載した証明書カードを付属。伝統工芸分野では初めての取り組みです。
危機的な状況にある工芸の、その付加価値をいかに高めていけるか?
そもそも、アートと工芸の違いとは?
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これらの課題・疑問について、工芸文化史の専門家として日本の芸術文化の分野で幅広くご活躍されている前崎信也氏と、B-OWND・プロデューサーの石上賢が語り合います!