ウルトラマン60周年コラボレーション展示 ウルトラマンシリーズ60周年記念「B-OWNDコラボレーション展」インタビュー 陶芸家・奥直子(後編)

ARTIST
ウルトラマンシリーズ60周年を記念して、B-OWNDによるスペシャルコラボレーション展が実現しました。本展では、「ポップカルチャー」と「工芸」を融合させ、アーティストたちがウルトラ怪獣の皮膚感や独自の造形美を再解釈し、創り出した作品が誕生しました。 参加した全8名の各アーティストに、ウルトラマンシリーズの「原体験」や制作背景について伺いました。
文章・B-OWND
写真・木村雄司 / 仲信達也

PROFILE

1988年 東京生まれ。2012年 多摩美術大学 工芸学科 卒業。2014年 常滑陶芸研究所 修了現在神奈川県を拠点に制作。奥は、焼き物の本質を「空洞」と捉え、内と外、リアルとバーチャルといった相反する要素の統合を表現することに面白さを見出している。その認識に基づき、実用性にとらわれない「エンターテイメントとしての焼き物」を制作している。

 

完璧ではないからこそ愛おしい、怪獣たちの物語

― 今回制作された怪獣たち(ゼットン、ダダ、バルタン星人、ケムール人、ジャミラ)にはどのような物語を込めましたか?

奥 ゼットンは絶対的なラスボスとしての佇まいを表現するため、ウルトラマンのグルグル模様と対になる「凪(なぎ)」の状態の模様で対峙させました。ダダは組織の中で動く中間管理職のようなポンコツ感や人間くささに親近感を抱いていて、今回はバスの座席でおなじみのポーズで一休みしている姿にしています。

ウルトラマン 奥直子
《60th ZETTON  R8》
写真提供:木村雄司

ダダは組織の中で動く中間管理職のようなポンコツ感や人間くささに親近感を抱いていて、今回はバスの座席でおなじみのポーズで一休みしている姿にしています。

《60th DADA  R8》
写真提供:木村雄司

バルタン星人は、大群で存在する彼らがウルトラマンシリーズ60周年を祝って「喜びの舞」を踊っている瞬間を切り取りました。

《60th ALIEN BALTAN  R8》
写真提供:木村雄司

ケムール人は「若さを保ちたい」という人間にも存在する途絶えない欲望の連鎖を、終わらないメリーゴーランドになぞらえています。そしてジャミラは、生きていく私たちの裏側にいる犠牲者を想い、青空から宇宙までを映し出す「石碑」のような作品として表現しました。

ウルトラマン 奥直子
《60th KEMUR  R8》
写真提供:木村雄司

そしてジャミラは、生きていく私たちの裏側にいる犠牲者を想い、青空から宇宙までを映し出す「石碑」のような作品として表現しました。

《60th JAMILA  R8》
写真提供:木村雄司

笑いあり涙あり、エンターテインメントとしての陶芸

奥直子 ウルトラマン
工房の様子 写真提供:仲信達也

― 作家として、奥さんがずっと大切に守り続けている「軸」は何ですか?

奥 私は「エンターテインメントとしての焼き物」を作ることを大切にしています。焼き物は小さなものを除いて全て「空洞」になっていて、内と外が存在します。その相反する要素が組み合わさって成り立っている構造そのものが、物事のあり様を視覚的に体現していて面白いんです。焼き物といえば用途(器)が求められがちですが、私は見ている人を笑顔にしたり、笑いあり涙ありの物語を感じてもらえる作品を目指しています。くだらないことや面白いことが大好きで、作品一つひとつの物語性を何より重視してきました。

今回のコラボレーションでも、単にキャラクターの形をそのまま借りるのではなく、『ウルトラマン』という重厚な物語と、自分のエンターテインメントとしての作風を掛け合わせることで、「令和8年の今のウルトラマン」という新しい物語を生み出すことができたと感じています。技術や枠組みにとらわれず、これからも見る人をワクワクさせる作品を作り続けていきたいですね。

>>前編はこちら<<


ウルトラマンシリーズ60周年記念「B-OWNDコラボレーション展」

会  期:2026年10月2日(金)~13日(火)
会  場:B-OWND Gallery
〒103-0028 東京都中央区八重洲1-6-1 TOFROM YAESU TOWER 1階
営業時間: 11時~20時

定休日:月曜日

月曜日が祝日の場合は営業し、翌平日に振替休業いたします