おうち時間 おうち時間の過ごし方 | アートな器で、カジュアルに楽しむ抹茶

LIFESTYLE
「おうち時間」として、自宅で有意義に過ごすためのさまざまな提案がなされる現在ですが、
私たちにとってなじみ深く、もっとも身近な存在に「お茶」があります。
今回は、「おうち時間」の過ごし方の提案として、
美味しい抹茶の入れ方と、個性豊かな茶器をご紹介します。
文:B-OWND
作品写真:石上洋、木村雄司、堀内祐輔
人物写真:B-OWND

おうち時間とは?

おうち時間とは、必要のない外出を控えて自宅で有意義に過ごす時間のことです。

不要不急の外出を控え、自宅で過ごすことが推奨されている現在、そのための様々な工夫や提案がなされています。その様子を、「おうち時間」というハッシュタグをつけ、SNSなどに発信された投稿の中には、このような日々の中でも、前向きに過ごそうとする人々の姿が見られます。

おうち時間の過ごし方

実際、おうち時間の過ごし方で親しまれている例としては、次のようなものを挙げることができます。

【おうち時間の過ごし方】

・オンライン飲み会、オンラインゲームなど、オンラインでの交流

・NETFLIXなどの動画鑑賞

・自宅でトレーニングする「宅トレ」

・ネットショッピング

・お取り寄せや料理をするなど、おいしいものを自宅で楽しむ

・DIYなど、モノづくり

他にも様々な過ごし方がありますが、今回は「おうち時間の過ごし方」のひとつとして、「美味しい抹茶を自宅で楽しむ」方法をご紹介します。

美味しい抹茶を、自宅でゆったりと楽しむという提案

抹茶、煎茶、玉露、番茶、ウーロン茶、紅茶など、お茶には様々な種類があり、文化があります。近年のタピオカブームや、健康志向の高まりの中も相まって、また様々な飲み方の提案もあり、私たち現代の日本人にとっても、生活には欠かせない嗜好品のひとつです。

そしてお茶は、コロナ禍の現在において、自宅で過ごす時間に、ひとときの癒しを与えてくれる存在でもあります。ひとりでも、複数人でも、美味しいお茶をゆっくりと楽しむ時間は、豊かなものです。そこにお気に入りの器があれば、その時間はより素晴らしいものになるでしょう。

お茶の中でも「抹茶」は、日本人にとっては特別な存在ではないでしょうか。

その背景に、「茶道」という、日本で独自に発展した文化があるからです。

また、抹茶には、茶葉を丸ごといただくことができるという点で、日本茶特有の風味をしっかりと味うこともできるうえ、喫茶以外の、様々な料理の原料としても用いることができるという強みもあります。抹茶風味のスイーツ、抹茶塩などは定番となっています。

一方で、シンプルに「抹茶」を飲むという行為を、自宅で楽しんでいる人は、それほど多くはないかもしれません。だとしたら、たくさんの道具が必要、ルールもあって難しそう、というイメージから、ハードルが高く感じられるというのが一因にありそうです。でも本当は、少ない道具で、自宅でも手軽に楽しめるものでもあります。今回は、最低限の道具を使って、自宅でも美味しい抹茶をいただける方法をご紹介します。

カジュアルに楽しむ美味しい抹茶の点て方

【使用する道具と材料】

・好きなお茶わん

・茶杓(ちゃしゃく)…抹茶をすくって、器に入れるための道具

 ※ティースプーンでも可。

・茶筅(ちゃせん)…抹茶を混ぜるための道具

・茶こし

・抹茶 2g

・熱湯 60ml

【美味しい点て方】

・ステップ1

茶こしで濾してだまを無くした抹茶を茶碗に入れます。量は、2gほど。茶杓を使用する場合は、山盛り1杯半が目安です。

・ステップ2

熱湯を茶わんに注ぎます。お湯の温度は、80℃くらい。

※お湯の温度を下げる際は、他の茶碗に1度移し替えるごとに約10℃下がるため、沸騰した100度のお湯を2度移し替えると80℃位になります。

・ステップ3

茶筅を使って泡立てます。はじめに、茶わんの底の抹茶を混ぜてだまを無くし、スナップを使って手首を前後するように振ります。大きな泡が立ってきたら少しずつ茶筅を上にあげ、最後に茶筅の先を使って表面の泡を整え、中央から茶筅を抜きます。

【冷抹茶】の場合

ステップ3のあとに、氷を数個浮かべれば、「冷抹茶」としてもお楽しみいただけます。

この暑い時期にぴったりです。ぜひお試しください。

現代のアーティストが手掛ける茶器

次に、B-OWNDに参画するアーティストの、個性あふれる茶わんと茶入をご紹介します。

【茶わん】

加藤亮太郎《志野茶盌》 岐阜
写真:木村雄司
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陶芸家の加藤亮太郎氏は、200年以上続く幸兵衛窯の8代目として、伝統的な美濃のやきものに取り組む陶芸家です。

タイトルの「志野」とは、桃山時代(16世紀後期)に美濃で焼かれた白い釉肌に緋色が表れたやきもののこと。本作について、加藤氏は「厚く掛かった志野釉の白くもちもちとした柚子肌、ほのかに浮かぶ緋色や味わい深い百草土など、見所がたくさん詰まった作品です。」と語ります。

松林豊斎《茶盌 月白釉流シ》 京都
写真:木村雄司
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松林豊斎氏は、約400年続く、京都・宇治の朝日焼の十六世。本作は、その象徴的な作風を示した作品です。

白濁した青が美しい月白釉(げっぱくゆう)、焦げた緋色の力強くプリミティブな景色、その両者を、白化粧土が繋ぐことで、朝日焼に受け継がれてきた「綺麗寂び」を、現代的に体現した作品です。本作においては、今にも流れ落ちそうな、釉の溜りが特徴的です。

山浦陽介《構築する器 八面螺旋組茶碗》 岐阜
写真:石上洋
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プロダクトデザイナーを経て、陶芸をはじめた山浦氏。

その作品には、現代建築のような水平と垂直が多様に重なった、絶妙なバランスから創造される緊張感があります。

本作について山浦氏は、「45度の角度をもつ石膏板8枚を一段ずつ螺旋形に組み上げて「茶碗」の空間をつくり、その空間の中に磁器の泥漿(でいしょう)を流し込み成形しています。螺旋の形が、外側の堅牢さと内側の柔らかさで対比される形」と語っています。

宮下サトシ《animation tea bowl》 東京
写真:木村雄司
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宮下氏の作品からは、カートゥーンアニメーションのような、かわいらしくもブラックユーモアを孕んだストーリーを感じさせます。本作のテーマは「瞑想」です。「手」で触れるという行為を象徴的に表現することによって、マインドフルネスのように「今、目の前の知覚に集中すること」で雑念を追い払おうとする、ある種の瞑想行為を視覚的に表した作品です。また茶道には、「茶わんを回す」という行為がありますが、これによって、内側に描かれている手のイラストが、アニメーションのように動いて見えるよう、意図されています。

【茶入】

続いては、抹茶を入れる「茶入」をご紹介します。

市川透《茶入 七曜》 岡山 
写真:堀内祐輔
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市川氏は、自由な発想で、荒々しくもラグジュアリーな作品を手掛けるアーティスト。色彩組み合わせのセンスと、それを実現するための多様な釉薬の研究に定評があります。近年では、器だけにとどまらず、アートをインテリアとして昇華させる実験的な試みへの参画など、その活動の幅を広げています。本作は、七つの天体をテーマとした作品。火星、水星、木星、土星、金星、太陽、 月を表しています。こちらは、B-OWND 限定作品です。

桝本佳子《シャコ/内海》 滋賀
写真:木村雄司
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桝本氏は、だれもが「見て」楽しめる、ユーモアあふれる「器」を制作するアーティストです。

本作のタイトルにある「内海」とは、茶入の形状のひとつを示す言葉ですが、その名前から故郷の瀬戸内海を想起し、自身と親しみのある「シャコ」をモチーフとして取り入れています。そのモチーフを表現する、釉薬のセレクトもすばらしい作品です。

高橋奈己《白磁茶器》 東京
写真:木村雄司
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高橋氏は、果実やつぼみなど自然が生み出すアシンメトリー(非対称)な造形の美しさに魅せられて以降、継続してそれらをモチーフに作品を発表するアーティスト。凛として美しいイメージの「白」に魅せられ、白磁の作品を多く制作しています。

本作は、お茶室でのかすかな自然光の中で、美しい陰影になる造形が意識されています。自身も15年以上茶道を続け、勤勉に作品制作と向き合うアーティストです。

B-OWNDでは、このほかにも、水指や片口、花器などをお取り扱いしています。ぜひB-OWNDウェブサイトをご覧ください。

お茶にまつわるイベントを開催予定です

 B-OWNDでは、お茶をテーマにしたアートイベントを計画中です。このイベントにて、新しいアーティストも登場も予定!今後、B-OWNDマガジンでもお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。

【抹茶の点て方をご紹介くださった茶道家】

写真:B-OWND

茶道家・株式会社TeaRoom代表 岩本宗涼氏

1997年生まれ。裏千家での茶歴は14年を超え、現在は株式会社TeaRoom代表取締役を務める。サステイナブルな生産体制や茶業界の構造的課題に対して向き合うべく、静岡大河内地域に日本茶工場を承継。2020年9月には裏千家より茶名を拝命。

また、岩本宗涼として一般社団法人お茶協会が主催するTeaAmbassadorコンテストにて門川京都市長より日本代表/Mr.TEAに任命されるなど、「茶の湯文化×日本茶産業」の切り口で活動中。

株式会社TeaRoom:https://tearoom.co.jp/