市川透 陶芸家・市川透氏の作品を販売します!【2022年1月28日(金)】

陶芸家
2022年1月28日(金)17:00より、陶芸家・市川透氏の作品を5点販売いたします。
本記事では、茶盌や酒器など、販売作品についてご紹介します。
文:B-OWND
写真:木村雄司

PROFILE

市川透

1973年、東京都出身。2011年、陶芸家・隠崎隆一氏に師事し、備前焼の技法や自由な発想の造形感覚を学び、2015年に岡山県にて独立。2016年の初個展からこれまで備前焼の概念を覆す作品を多数発表してきた。熱い血が流れるような赤。スタイリッシュでメタリックな黒や金銀の光彩。その圧倒的な存在感から響いてくるのは、さながら〝自由への咆哮〟である。国内外のギャラリーや百貨店にて個展を開催、また多数のアートフェアにも作品を出品している。

2015年の独立以来、「アートと工芸の融合」という、ゆるぎない信念をもって精力的に活動を続けてきた陶芸家・市川透氏。その持ち味は、彫刻を思わせるような自由な造形と、鮮やかな色彩です。人気アーティストとして、常に注目を浴び続けています。

本記事では、2022年1月28日(金)に販売する作品を、その見どころとともにご紹介します。なお、掲載の5点の作品は、いずれも同日17:00より、B-OWND【市川氏販売作品一覧】にて販売いたします。

自由を渇望する魂の叫び

《徳利3点セット Memento mori》 
176X100xH170mm 880g
103x61x70mm 250g
103x61x70mm 250g

本作のタイトルの「Memento mori(メメントモリ)」とは、「いずれ誰にでも死が訪れる、それを忘れるな」というような警句で、古くから芸術作品のモチーフになってきました。

 この「Memento mori」がタイトルについた本作は、熱い血が流れるような赤、スタイリッシュでメタリックな黒や金の光彩といった、市川氏の独自スタイルがよく表れた作品です。徳利は角のようなものが鋭く伸びた、特徴的な形をしています。全体にかかる乳白色の釉薬は、骸が風化し、土に還っていく様子を思わせるようです。

徳利に添えられた2つの小さな骸。
さかさまにすると、実は酒器であることがわかります。

市川氏は、自身の人生について、次のように語っています。

「明日死んでもいい。常に懸命に取り組んでいるから、何かあっても落ち込んでいる暇もなく、前に進み続けるしかありません。」

常に革新的な制作へと莫大なエネルギーを注ぎ続ける市川氏にとって「Memento mori」とは、常識にとらわれることなく、自らの心に従って自由に「今を愉しめ」と語りかけてくる言葉に聞こえてくるのかもしれません。

原土の表情を残した力強い美しさ

《茶盌 VANISHING POINT》 
127x127xH103mm 580g

市川氏の作品には、大地のエネルギーを感じさせるような荒々しい力強さがあります。

あえて陶土を精製しすぎず、余分と思われるような砂や石を残すことで、原土に近い表情を残していることがその理由のひとつです。

「滑らかに精製すればするほど、土っぽさが薄れて、表面の味がなくなっていくのです。それは、きれいといえばきれいなのですが、工業製品に近づいていくような気がしていて。僕は、そういった“きれいなもの”は、機械に作ってもらったらいいと思っているんですよ。」

自然とともに作品を作り上げるという市川氏の意識が表れているコメントです。

だからこそ彼の作品は、洗練されたラグジュアリーな雰囲気とともに、自然の力強さを併せ持っているのでしょう。

作品は、生活を豊かにするものでなくてはならない

市川氏は2020年、空間デザイナーとのコラボレーションによって、アートとインテリア、そして空間を融合させる試みにも挑戦し、陶芸というジャンルを越境した活動も展開しています。

 以前より、「作品は、生活を豊かにするものでなくてはならない」と語っていた市川氏でしたが、この活動以降、より空間との相性を意識するようになったといいます。市川氏の作品は、食事の席をより華やかに、特別な時間へと演出します。実際に高級レストランで愛用されるなど、多くのファンを獲得しています。

《グラス2点セット VANISHING POINT》 
94x94xH88mm 340g
93x93xH91mm 340g

本作は、黄昏の海を思わせるような、深くブルーのグラデーションと、冷たく輝くシルバーのコントラストが特徴的です。制作の合間に、近くの海辺をよく訪れるという市川氏。彼の作品からは、自然から受け取った力強くも繊細な美しさが感じられます。窯のなかで溶け合った、色彩の風味が絶妙です。

《切立2点セット VANISHING POINT》
73x73xH88mm‧103x103xH15mm 360g
70x70xH82mm‧103x103xH12mm 360g

本作は、器の底からまっすぐに伸びる形状の「切立(きったて)」です。直線的な器のフォルムと、縦軸を意識した装飾が美しい作品です。鮮やかな色彩はもちろん、それぞれの釉薬が織りなす、繊細な質感の差異は、まさに「使える」アート作品といえるでしょう。

朗らかで明るい色彩の作品も手掛けるなど、多様な表現も魅力

最後にご紹介するのは、女性的な雰囲気の作品です。

《茶盌 悦chan》
121x121xH97mm 490g

本作は、美しさや可愛らしさを伝える 優姿(やさすがた)という言葉からインスピレーションを受けた作品です。

すがすがしく鮮やかなブルー、淡いオレンジやイエローのドットから、明るく可憐な女性の姿が想像されます。ドット部分には、繊細な光沢を放つ釉薬がかけられ、柔和な印象に仕上げられています。

こうした多様な表現力も、市川氏の魅力です。

以上、ご紹介した5点は、1月28日(金)17:00より、 B-OWND【市川氏販売作品一覧】 にて販売いたします。次回の販売時期は未定ですので、この機会にぜひアクセス下さい。

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